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【書籍】『スクールポーカーウォーズ(シリーズ全3巻)』維羽裕介(著)

書籍・映画・戦略初心者向け, 維羽 裕介, 小説

【出版年】2015年日本語版(2015年電子版)
【著者】維羽 裕介
【内容】

確率が全てを支配する数学と心理学と論理学の格闘技。それが、ポーカーだ。 
勝負直前で逃げ出した過去を持つ浦原は、謎の転入生・江頭と出会う。
彼女にはどうしても伝説のポーカー倶楽部を倒したい理由があった…。
集まったのは、ポーカー未経験者の柳、不良の赤村、そして人食い鬼!? 
0.1%でも高い勝率を求め、少年少女達の熱い戦いが始まる。

【構成】

1.テキサス・ホールデムってなあに?
2.ゴミは潰してリサイクル
3.オーガさんを探せ!
江頭妙子さんのポーカーノート
 【基本編】
 【ポジション・プレイスタイル偏】
 【用語偏】
人物紹介
あとがき

※内容・構成は第1巻のもの

【特徴】
中学校を舞台にしたポーカー青春小説
第1巻は倶楽部打倒のための仲間集めを終えるまで。 筆者が本編あとがきでも触れているように悪役みたいな主人公たち。 でも、自分の利益しか考えていない少年少女がチームを組む、というのもポーカーのテイストにあっている。

物語の軸は主人公が過去のトラウマと向き合い、ポーカーを通じて自らの尊厳を取り戻すこと

・ポーカーのルール説明が劇中に組み込まれているので、 全くのポーカー初心者が読んでも理解できる

・本書の書き出し、主人公が劇中で書く「寄稿文」が素晴らしい
かなり長文だが以下引用。

——ベストは選べない。それでもベターを選んでいく。それがポーカーだ。

 おそらく君はポーカーを知らないだろうから、少しだけ説明をさせてほしい。
 日本の誰もが知っているポーカーは、すでにこの世から廃れ去っているのだ。
 そう、五枚のトランプを手にして手札をチェンジするあれだ。個人的な所感を述べさせてもらえるのなら、あれはもうポーカーとさえ呼んじゃいけない代物だと思っている。あれじゃあ、ポーカー本来の肝である手札の読み合いや相手の裏をかく醍醐味をまったく味わえない。
 ポーカーとは数学と論理学と心理学を用いた格闘技なのだ。たかがポーカーごときに大袈裟だと笑う人もいるかもしれないが、笑うのは今しばらくお待ちいただきたい。
 これから説明するのはテキサス・ホールデム。
 世界中どこにあるカジノに行ってもプレイできる世界標準ルールのポーカーだ。
 ポーカーの役を知っているのならルールは3分で覚えられる。
(中略)
 テキサス・ホールデムは世界大会だって毎年やっている。
 例えば2014年に行われたWorld Series of Pokerの参加者は6700人。693位から2万ドル弱のしみったれた賞金が出始めて、162位から5万ドルを超えて、72位から10万ドルに手が届く。その後加速度的に賞金額は上昇し、10位までいけば56万ドル、8位で94万ドルを超え、5位なら214万ドル、優勝すればおめでとう! 1000万ドル獲得だ。
(中略)
 さて、ここまで読み進めた読者諸君の頭には、いくつかの疑問が浮かんでいるのではないだろうか。
 ポーカーなんて運じゃないのか?
 上手い下手なんて概念が存在するのか?
 継続して勝つことができるのか?
——断言しよう、ポーカーは実力で勝てる。
 確かにじゃんけん勝負のような運任せになることはある。ポーカーとは実力と運がダンスしているようなゲームなのだ。ラッキーで逆転する事だってあるし、アンラッキーで逆転される事だってある、しかも割と頻繁に。
 だが心配はいらない。
 分散した確率もやがては収束する。常に最善の手を打って入れば、あらゆるシーンで期待値がプラスになるアクションを取っていれば、いずれは結果が追い付いてくる。それは保証しよう。
(中略)
 自身の実力と適切な戦術、それとフィッシュを見つける目さえあれば、僕らは晴れて巨万の富を築ける。手に職を付けるとはこういうことを言うのかもしれない。
 高名なディビッド・スクランスキーはポーカーというゲームの本質について、こう説いている。
「あなたが相手の手札をすべて見ることができた時、あなたにとって最適なプレイをすれば勝てる。もし敵があなたの手札を見ることができた時、相手に最適ではないプレイをさせることができれば勝てる。」
 英語は苦手なのでずいぶんと意訳してしまったが、言いたいのはこういう事だ。
 自分が一番強いことが分かれば精一杯掛け金をつり上げ、自分が負けていることが分かればさっさと降りる、もしくははったりで無理矢理降ろす。現実には相手の手札が分からない以上、常に難しい判断を迫られる。
——この世のありとあらゆる卑怯者は喜ぶべきだろう。
 テレビゲームの嫌がらせが殴り合いに発展して友情を失った者、7並べでパスを続けて弟や妹を自滅に追い込んで泣かせたら親に激怒された者、モノポリーで家を四軒建てて顰蹙を買った者。ポーカーではそれらの恥ずべき、忌むべき所業をいとも容易く平然と行う精神が求められる。和気あいあいと楽しもうね! とか、フェアプレイで頑張ろう! という欺瞞に満ちたオブラートを取っ払い、その下に渦巻いている狡猾な感情、利潤の追求心、そんな誰でも持っているぎらぎらとした欲望が剥き出しになるのがポーカーだ。つまりどういう事かを端的に言うと、
 ポーカーは性格の悪い奴にこそ向いている。

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